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Posted: 27 Jan, 2024 @ 7:26am
Updated: 27 Jan, 2024 @ 7:33am

アタリショック40thの爪痕

昨今、レトロブームのおかげで何十年も前にあった過去のゲームが注目されています。すでに過去作の移植が色々出ており現在進行系で増え続けておりますが、その中には諸々の理由で過去出せなかったゲームもあったりします。
この「Akka Arrh」というATARI社が予定していたゲームも、アーケードで試作してたけど結局世に出ることはなかったらしく、今まさにそれをリメイクとして出してきたばかりです。

「Akka Arrh」はトップダウン式の防衛シューティングとなっていて、迫り来る敵から防衛拠点の地下にある「Pod」を守り抜くのが目的となります。Podは最大16個あり、それらが全て無くなるとゲームオーバーとなります。
移動は上下左右移動できる標的カーソルで、使用ボタンは対地用ボム(Bomb)+対空ショット(Fire)+敵が地下へ侵入した時に地下へ移動(Go downstairs)の3つ。
ボムを放つとフィールド上の標的カーソルの位置に爆風を発生、敵を巻き込むことができます。巻き込んだ敵は連爆し、点数が上がったり様々なフィーチャー(後述)があります。
対空ショットはあらゆる敵を攻撃できますが弾数制限があり、敵や敵弾を破壊して弾を補充する感じになります。弾数は移動カーソル上に表示されます。
敵に侵入されて地下移動した時は常時オートショットで、移動カーソルを標的に合わせ殲滅する感じになります。

なお使用デバイスは通常のアナログスティック付コントローラーとマウスに対応しており、各ボタン設定はコントローラーだとA,B,R2ボタン、マウスは左右クリックに対応してます。キーコンフィグは無いですが、ポーズメニュー(キーボードだとEsc)内の設定で何種類か配置変更のオプションがあるのでそれを使うしかありません。

ゲーム内の各敵には通常のザコ以外にもステージ(Level)が上がるにつれて、「ショットで倒したときに爆風になる敵」「爆風に当たると打ち返し弾を放つ敵」「ショットしか効かない上、耐久力がある敵」「フィールド上で倒した場合、そのフィールドが一定時間消えてしまう敵」など厄介な敵が多くなり、考えて戦わなくてはいけないストイックなプレイスタイルを求められます。

以下その他、特徴など。

・連爆のためのフィールドについて
各ステージのフィールドは様々な形をしていて、中には回転する場合があったり、その回転動作をこっちが操作できる場合があったりします。
またボムによる爆風は、ステージごとのフィールドによっては爆風滞留時間、範囲、広がり速度が異なります。

・連爆及びアイテムについて
連爆の点数は
1~10→20~100→200→500→MAX CHAIN(2000)
となり、「連爆中にボムを撃つ」か「敵侵入される」か「敵弾でミス」した時にリセットされます。
他にも一定の連爆数でアイテムが出現し、基本的には「MAX CHAIN」到達時からアイテムが出ます。
アイテムは以下。最初の1つ目以外は特定ステージで出現。
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 SHOOTY CURSOR : カーソルから十字方向にショット4つ追加。MAX CHAIN到達時必ず出現。ただし取得中にCHAINリセットでアイテムの効力を失う。
 AUTO-SHOOTING : 数秒間敵をオートで勝手に殲滅できる。硬い敵も一撃で殲滅。
 SUPER BOMB : 取った瞬間アイテムから全方向ショットを発射。
 DEFLECTIVE CURSOR : カーソルを敵や敵弾に当てると硬くても一撃できる。持続時間長め。
 MORE CREATURES : 敵を左右対称に複数増やす。2つ目で上下対称にも増やす。
 HYPER SPEED : 敵出現や移動が高速になる。
 HYPER-TOP BONUS LEVEL : Lと書かれたアイテム。敵を一律5000点にする。
 BONUS : 牛アイテム。50000点追加。複数取るごとに50000点が上乗せされる。
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まずSHOOTY CURSORが必須と言っていいアイテムで、コレを取ってから攻略することになります。取った場合ボムを撃つと効力を失うので、ボムは余程の緊急回避以外は使わないようにしましょう。
他のアイテムは取ればお得程度でいいです。例外的にMORE CREATURESとHYPER SPEEDは一見罠アイテムでもありますが、稼ぎたい場合とかは取っても構わないかなと。

・ステージクリアについて
各種ボーナスや、Podの個数を回復できる場合があります。
ボーナスに関しては、「ボム発射回数が低いと高得点」なのと「地下侵入阻止時に32768点(侵入を許すとPod守れても0点)」があり、さらにショット弾薬数の一定個数分が微小ボーナスとして加算されます。これがステージクリア数が8ステージ達成で「OCTAVE COMPLETED」となって、ショット弾薬数全てが対象となります。

・ステージセレクトに関して。
たどり着いたステージは仮にゲームオーバーになってもそのステージから開始できるようになっています。ただしその時のPod残り数も保存されていて、不利なPodの数の状態でステージクリアしてしまうとステージセレクトで開始しても不利なままでステージ開始になってしまうので、その場合やり直した方が良いかもしれません。

・難易度設定に関して。
このゲームは最初の4ステージ分はチュートリアル風になっていて、次のステージから難易度選択がメニューからできるようになってます。通常はNORMALで、もう1つがHARDとなります。
HARDは一部の敵や出現パターンが変更、ショット弾薬数の初期値が元は5なのにHARDは2、クリア時はショット全弾薬数が常にボーナス対象で初期化、さらに出現アイテムが最初のSHOOTY CURSOR以降は一部除いてほぼ全てMORE CREATURESとHYPER SPEEDという罠アイテム地獄となってます。

以上がゲームの概要ですが、やる際に注意すべき点もあります。


ゲームに関する注意点

・操作はコントローラーよりマウス推奨
まずアナログスティック操作が慣性移動かつ結構遅めの移動なのでやりづらく、マウス操作の方がやりやすいのでそっちに設定しましょう。...なのですが、ウインドウモードのゲームプレイだと画面外にマウスカーソルがはみ出てクリック操作した場合ポーズ画面になったりするので、フルスクリーンでプレイした方が幾分マシになります。かなり不便です。
またマウス操作だと敵侵入時の地下移動の操作がマウスホイールボタンまたは左右クリック両方押し。タイトルメニュー時の難易度切り替えが何故かキーボードの5,6,7,8キー(全部同じ?)になってます。

・SHOOTY CURSORありきのゲームデザイン
連爆で出てくるアイテム「SHOOTY CURSOR」の十字砲火がとにかく強力で、カーソル位置で十字発射する(しかも弾数は1発しか減らない)ため対空の敵は大体コレで殲滅できます。逆にこれがないと辛い局面が多いので、1ミス自体がピンチになってゲームオーバーになりやすくなります。

・最悪な敵の組み合わせが存在する
後半猛威を振るう敵が「ボムの爆風しか効かず、ショット当てると永遠に撃ち返し弾を放つ敵(赤紫のプロペラ)」で、フィールドがあるのであれば爆風で済みますが、これと「フィールドが一定時間消えてしまう敵」の組み合わせが最悪で、間違えてフィールド消してボム爆風が使えず地下侵入確定→パワーダウン→早く対処しないと次々侵入されるというコンボを食らいます。意図なんでしょうが初見は混乱します。
またコレを含む打ち返しの敵は自機砲台の頭上に来る場合があるので、撃ってしまうと即ミスになるのも厄介です。
後半ステージになるとコレら以外の様々な敵が複合してやってくるのでとにかく大変。

・真の敵はカメラワーク
カーソル移動すると画面のカメラワークがカーソルを追従するので後方が見えなくなってしまいます。コレの何が怖いかというと、いきなり画面外の後方から敵弾がやってくる場合があったり、「Congraturations!」のボイスと同時に撃ってくる青鉄球弾が高速で不意打ちする敵にやられたりします。大体のミス要因はこれなのでストレス溜まるのも如何かと思います。
マウスだと即対処できるので良いのですが、アナログスティックだと移動の遅さも相まってキツイです。

・解除不可の実績
以下の実績が解除されない仕様?になっています。
 MMM Egg!(Activate the egg toggle)
 Anorak(Play from level 0 to the end in HARD mode)
前者はそもそもEggというのがどれにあたるのか不明瞭(もしかして無い?)ですし、後者はHARDモードが0面からではなく4面からでないと設定不可能なので解除できません。
2024年1月現在、まだ制作側から何も音沙汰がないので修正は期待薄いかと。


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...と、書いておいてなんですが、ゲーム内容はさすがテンペスト2000の作者だけあって連爆の爽快感、ライン描画を用いた独特なデザイン、聞き心地良いサウンド、アブストラクトな特徴ある敵、その敵対処や敵弾の難しさも反射神経フル回転で対処可能なのが逆に緊張感あって楽しいと思います。
ゲームテンポも最初の雰囲気慣れから数十秒後本番といった感じで速くなるところが印象良かったり、ステージセレクトや難易度変更で途中から激しいプレイもありと幅広くていい感じです。
ただ注意点にある各種不親切な箇所に関してはオールドゲームの宿命なのでやむを得ない感じ。まぁ一部実績解除ができないところに関してと、アタリショックの頃を引きずってるかのようなインターフェースの分かり辛さとそれなりの高額な値段に目をつぶれば遊べるレベルですので、気をつけてプレイすることをおすすめします。
分かりやすいチュートリアルとかが無いのは当時ロクな情報網が無かったため、そういう隠しを探る楽しみを見出したかったからだと邪推しておくことにしましょう。
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1 Comments
n.takashima 27 Jan, 2024 @ 2:41pm 
ゲームに限らない話ではありますが「良いレトロ・悪いレトロ」みたいなものは確実にあるのでは、と感じています。受け手が楽しければどちらでも良いじゃない、と言うのも事実ではありますので難しいところです。
自分的には時代を超えても楽しげに見えるものはある種の普遍性を獲得していると考えます。これはゲームなのか!? と戸惑ってしまう代物はそのあたり厳しいんですが、最低限、遊び方を教えてくれる方がいたら印象は随分違うよねとも思います。楽器なんかもそうだなぁ……。