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武羅繰鳳艫 戦国

架空オリジナルレスラー

（我孫子夜衣歌、謎の女僧、柳 修子の欄よりつづき）

我孫子夜衣歌編も佳境に入り、「ＫＲＦのラスボス」こと、ブラックホール千石が夜衣歌の前に立つ。

セコンドには柳姉妹がそれぞれ。

屋外施設でこれ１戦のみの限定マッチながら、観客は超満員。雷鳴轟く中。晩夏のホラープロレスが開始される。

もはや呪文は封じられることがわかっているので、夜衣歌は凶器をぶん回し、ラフ攻撃で攻め立てる。

しかしパワーで勝る千石が持ち前の打撃の強さで凶器すら弾き返す力を見せる。

すると夜衣歌は、辰巳戦で見せた口づけ攻撃に入る。

「千石様！　今です！」

柳妹の声に、千石はマットを一部引っぺがすと、下には魔法陣が敷かれている。

「おーまくさんだーらーはんにゃーまーけーうりゅーせりょうせもいちんゔぁゔぁリセマじょーせー！」

柳妹が経のようなものを唱えると、口づけに攻め立てられてる千石は、早くしてくれという表情で怨霊を口で受け続け、息も絶え絶えである。

数分はその光景が続いたであろうか、千石が白目をむき、腕が垂れ下がりそうになったその瞬間

「かーーーーーーーーー！！！」

柳妹が叫ぶと、イカヅチが闘う二人の頭上へ落ちた！！

煙が立ち込めるリング上。それがやもうという時、夜衣歌の眼前に、眼光ひかる黒い影が。。。

体型こそ千石そのものであるが、全身黒尽くめの鬼のような風貌のレスラーが立つ。

「これぞ、この関が原の地で威霊となった、宮本武蔵とか豊臣秀吉とかあとなんか凄い剣豪達とかを千石様に降霊させた姿！　武羅繰鳳艫 戦国（ぶらくほうる　せんごく）よーーー！！！」

どよめく会場。

一瞬ためらった夜衣歌だが再び攻撃を開始。

この世のものとは思えぬ怪力で夜衣歌をぶん投げる戦国。

それでも夜衣歌の抵抗は続いたが、雪崩式の喉輪落としで
「貴様のプロレスへ賭ける意思は天晴であった！！　その想いを誇りとし、リングで眠れ！！　我孫子夜衣歌！！」
との掛け声とともにKO。１戦が幕を閉じた。

我孫子夜衣歌であった御神体は灰となり風に流されていった。


後日ーーーーーーー

「いやはやとんでもない夏だったねぇ」
辰巳の見舞いに訪れたＫＲＦ一同はくたびれた表情でお互いに笑いあっていた。

強引な降霊術で体を酷使した千石も杖をつきつつ

「しかし、我孫子夜衣歌、あいつのプロレスに対する情熱は本物だったよ。反則カウントはしっかり守るし、技のキレのひとつひとつは一流のそれだった」

と窓から秋風吹き始める景色にまぶたを細め言った。

「それに登場の時、僧侶が変なまくし立てで喋ってたから聞き流してたけど、アイツ、プロレスラーになりたかった母親が身篭ってた子供の怨念なんだよな……。産まれて最初にやったことが親孝行なんだぜ……」

と辰巳。


「千石さん、けっきょくクイーンの水着を夏に着られませんでしたね」
笑うJKに
「バカ野郎、年が明けたら、ブラックホール千石、KRF立ち上げ初のクイーンオブドリームシングル挑戦。その時のお披露目コスとして取っておくのが粋よ」
と返した。


のだが！！

年明け初戦のビッグマッチ「ＫＲＦチャンピオンロード」に、黒いベルトを抱えたオーナーと我孫子夜衣歌の姿が！！

どうも、柳姉の体に憑依した夜衣歌の半分が、御神体が消滅したその日から本体となり、ＫＲＦに再び殴り込み！

金になると踏んだＫＲＦオーナーは凶器攻撃なんでもありのNODQタイトルとして「ＫＲＦハードコア」を設立してこの日のチャンピオン決定戦に我孫子夜衣歌を参戦させることを決めた！

さて、その対戦相手は誰になるのか！　KRF選手層と試合形式の多様さは、なんだかんだまた一層厚くなったのだ！